基軸通貨 2020 5 31
2020年5月30日の産経新聞電子版には、このような記事がありました。
中国「自爆」覚悟の香港支配
実のところ、中国からの資本逃避も、
中国本土への外国資本による投資も香港経由である。
実質的には、ドル本位の通貨・金融制度の中国にとって、
国際金融センターの香港は、死活問題だ。
だからこそ、毛沢東以来、
歴代の共産党指導者は「自由な香港」を容認してきた。
香港の通貨金融制度は「カレンシーボード」で、
香港金融管理局が香港ドルの対米ドル・レートを固定し、
英国系の香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行と、
中国国有商業銀行の中国銀行の3行が、
手持ちの米ドル資産に見合う香港ドルを発行する。
つまり、香港ドルを米ドルに自由に交換できることが前提となっている。
香港ドルが米ドルとのリンクを失えば、
香港は国際金融センターではなくなる。
香港に拠点を置く日米欧の企業、銀行にとっても打撃になるが、
同時に、それは、ドル本位である中国経済システムの崩壊危機を招きかねない。
(引用、以上)
基軸通貨、つまり貿易決済通貨の威力は強いものがあります。
日本では、チリワインが人気ですが、
チリからワインを輸入する時は、
代金として、日本円を用意しても、チリは受け取らないでしょう。
チリの業者が日本円を受け取っても、チリ国内では通用しないからです。
このような場合は、日本の業者は、円をドルに替えて、
ドルをワイン代金として支払うことになるでしょう。
さて、日本がアメリカに自動車を売った場合は、
代金を日本円ではなくドルで受け取ることになります。
しかし、日本国内では、ドルは通用しませんので、
ドルを日本円に替えるのか。
もちろん、材料費や給料を支払う必要があるので、
そうする必要がありますが、
ドルは基軸通貨なので、何かと便利なので、そのまま持っていたい。
「国際的な買い物」をする時に便利なので、
ドルを保有しておいたほうがよいと判断するかもしれません。
しかし、それでは、材料費や給料が払えなくなります。
そこで、その資金を銀行から借りるかもしれません。
これでは、貿易で儲かったはずなのに、
なんだか「輸出貧乏」の気分でしょう。
ドルはアメリカに滞留したままで、借金が増える。
もちろん、今は超低金利なので、そんなに気にならないでしょうが、
いくら輸出をしても「金欠」のままでは、儲かった気分になれないでしょう。
アメリカの銀行口座の残高は増えるが、「輸出貧乏」の気分は残るでしょう。
これが基軸通貨でない悲しみでしょう。
日本円が通用する経済圏を世界に作るか。
しかし、今の日本の経済規模では難しいでしょう。
バブル経済の時だったら、可能だったかもしれません。
もちろん、日本は国際的な信用がありますので、
日本円は、「ハードカレンシー」となっています。
国際的な信用とは、日本が世界最大の債権大国だからでしょう。
このような分野では、日本は超大国ですが、
それでも貿易をするには、ドルを調達する必要があるのです。
金額が大きければ、ニューヨーク連銀が介在するのかもしれません。